菊次郎の夏

評価:★★★★☆

不覚ながらオープニングから”泣いて”しまいました。

ただ、この”泣く”と言うのは何かに感動して泣くというのではなく、監督の新たな作品を見れるという期待感と久石譲の澄んだテーマ曲が、筆者の心の中でどんどん大きくなってその一片が込み上げてきてしまったのです。

号泣ではなく、コンタクトの渇きを癒す程度に。

何を馬鹿なこと言ってやがるんだと思うかもしれないですけど、それくらい『北野映画』というものを『北野武』と言う人を好きなんです。

映画の内容は、北野色の笑いの詰まった作品。

直接的な暴力描写は無いのですがその暴力の無さが、この映画に流れる和やかな雰囲気が、逆に暴力的なんです。

前評では「今までの北野作品にはないもの」みたいなことを言われていますが、その笑いの手法や根底に位置するものは基本的に変わってないと思います。

「暴力的な部分が無いからダメ」とか愚問中の愚問。

そのような事言って批判しているやつらを見て、北野監督は笑っていると思いますよ。

何せこれは確信犯なのだから。

監督自ら「みんな~やってるか!2」と称してるだけあって『笑い』を中心に話は進んで行きます。

ロードムービーとは言えそれらは事件毎に区切られるオムニバス形式。

まずその話の内容とオチが絵日記風に紹介され、そして物語が始まります。

ビートたけしの『笑い』が好きではない人は話にならない映画だと思うし、万人に受け入れられる作品ではないような気がします。

『みんな~やってるか!』が楽しんで見れた人は文句無しだと思います。

アレをもうちょっと一般向けにした感じ。

雑誌か何かで「北野ファンには『踏絵』となる作品」とは良く言ったもんです。

浅草キッドに「日本映画界のR2D2とC3POだ」とまで言わせた、グレート義太夫と井手らっきょにも要注意だ。


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