メイド・イン・ホンコン
評価:★★★★★
全編に渡ってインディーズ丸出しなんですが、それがなんともいいです。
その分、低予算をカバーするカメワークや演出は秀でたものがあります。
香港の中国返還をテーマにした映画なので、この映画に込められた深いメッセージは、実際に自分がチャウと同じ、香港庶民の立場に立ってみないとそう簡単に理解できるものでは無いと思いますが、それでもとある激動の時代を駆け抜けた若者の生きざまはビシビシと伝わってきます。
一見すると東洋の芸術っぽい映画を連想しますが、実際に観てみるとその映像効果や手法は全て必然の元に行われているし、「その後の展開は観た人おまかせ」なんていい加減な作りはしてません。
することはきっちりとして、決して後味のいいものではないですがストーリーは完結します。
またインディーズ映画と聞くと監督の独り善がり的な印象も受けるのは筆者だけでしょうか?
しかしこの映画の監督フルーツ・チャンは「自分なりのこだわり」と「商業的にヒットする要素」という相反する物をうまく融合しているのです。
これはパンフのインタビューからなのですが、「MTV的な手法が流行ってるから入れてみた」なんてコメントもしてるし、映画全体の色付けも「古いフィルムだからしょうがなくて、でもそれがたまたま良い方に転んだ」何てことも言ってるんです。
こだわりを持っていながら、芸術家ヅラしないこの姿勢がいいですよね。
そしてなんと言っても、この映画1番の見所は主演の『サム・リー』です。
この映画を撮る前までは一般人だったとはとても思えないセンスの良さ。
予算の関係で衣装は全部自前だそうですが、これが物凄く格好いいし、キャラクターにマッチしているんですよね。
銃を手にして葛藤する表情や”大人たち”に対する怒りの表情など、動きの一つ一つをとっても完璧です。
これは香港映画界にとって大きな財産となるでしょう。
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